当事業所では、開所当初より自閉症スペクトラム障害や行動障害を持つ利用者への支援の難しさを感じていた。昨年度より「生活介護事業」一本化になり、活動で一堂に会する機会も増え、スペースの過密や、配慮必要者の動線が重なる状況も多くなり、他害行為やヒヤリハット、二次被害の発生も増えた。そこでSPICYの施設支援(年間契約)を活用し、開所以来の大きな構造化(環境調整)を行っているところである。初めは疑問を感じながらの取り組みではあったが、その効果は大きいものだった。今回はその途中経過について紹介する。
SPICYスタッフと現場を確認後、環境面での改善がはかれる点について話し合った。具体的には下記のような内容であった。
①作業室2で活動する人数を更に減らす。
→奥の部屋を活用可。
②作業室2を3つのエリアに見えるよう整備していく。3つの出入り口に合わせる。
→動線上のトラブルを減少、車椅子利用者がより安全に移動可。
③班毎にドアや床、机や個人かご等の色をテープなどで分け、視覚的に明瞭化する。
→自分の持ち場が把握しやすい。
④別館の活用
→リラックスルーム、個別対応等の利用。
⑤職員室付近に鏡エリアの設置
→職員室に入りたがる人の関心転嫁
当初、職員間には、安全面や支援面について不安の声もあったが「まずはやってみよう!」ということで、次のような構造化に取り組んだ。①及び②については、作業室2に配置していた4つの班から、3班を作業室1に移動した。③については、班別に色分けした。④及び⑤については、今後の課題としている。全体的には、利用者については、表情が柔らかくなり、全体的に落ち着いて過ごせるようになった印象が強い。また、当初職員が心配していた利用者の環境の変化に対する反応についても、予想以上の順応性が高い一面を見る事もでき、驚いている。一方、閉塞感を感じている人もいるのではないか、との見方もあり、今後の課題と言える。職員については、班内の見守りや支援がし易くなったという意見が多い中、利用者の行動制限に繋がっていないか、という疑問の声もある。持ち場を離れる際の連携は定着しつつあるが、他部屋との連携については今後の課題と言える。
【取り組み前】
【取り組み後】